技術ブログを始めて1年が経ちました!

執筆者 : 岩船 真弓


1. はじめに

VA Linux が昨年7月から技術ブログを始めて1年余りが経ちました。

そこで今回は、これまで公開した技術記事の紹介や、技術ブログを始めた目的、開設までの準備、運営スタイルなどについて書き留めておきたいと思います。

2. 技術ブログを開設した目的

技術ブログを開設した目的は、会社の認知度向上を目指し、ブランド価値を高める事です。
弊社の公式ホームページには、技術文書のカテゴリがあり2002年から発表資料や技術記事をアーカイブしています。

技術ブログをもっと多くの方々に読んでいただき、弊社の技術力を理解してもらえる方法、そして会社の関連技術だけでなく弊社エンジニアが書きたいネタを幅広く扱える方法は何かと考えたところ、技術ブログという形で公式サイトと切り離した運営がベストだと判断しました。

3. 開設までの準備

ブログを活用することが決まったので、具体的な準備に入りました。以下の項目を社内で議論、検討しながら進めていきました。

  • 社内でのブログ開設に向けての議論と協力のお願い
  • 利用するブログサービスの選定
  • ブログデザインと制作
  • 運用とスケジュール管理方法の決定

ブログサービスの選定やデザインについては、検索すると有益な情報がたくさん見つかりますので記載を省きます。弊社の場合の運用方法やスケジュール管理方法について書き留めておきます。

運用とスケジュール管理方法の決定

目標
  • 投稿回数は毎月2回、年間で24回以上の投稿
運用ルール
  • 業務の一環として取り組む = 業務時間内に執筆作業をする
執筆ルール
  • 形式やボリューム、技術の種類を限定しない
  • 個々人が書きたい内容、自分が読みたいと思う内容を書けるのが理想
投稿ルール
  • 執筆者以外のエンジニア一人以上が必ずレビューすること

執筆者は正しい情報を発信するために調査や勉強をする必要がありますし、レビューをするエンジニアと知識を共有することで相互理解が高まり、技術力が向上する事を期待しています。

情報の資産化
  • 本人の承諾を前提として、執筆者の Github や Twitter アカウントのリンクを貼る
  • ブログに公開した情報を個人アカウントのSlideshare や SpeakerDeck にアップしても OK
その他
  • 年度末に社内投票制によるインセンティブ授与
スケジュール管理

弊社では Redmine を活用してスケジュール管理をしています。あらかじめ投稿スケジュールを組み、各自の仕事の兼ね合いを鑑みて投稿枠を決め、どんなテーマで記事を書くかを記入します。 編集担当がその記入を元にチケットを発行し、レビュアーの指定やステータスの更新をしていき、社内で進捗状況を把握できるようにしています。

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管理画面

スケジュールやステータスを可視化し社内で情報共有することで、他の仕事との兼ね合いでのスケジュール調整や負荷分散もしやすくなればいいなと思っています。

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ガントチャート

弊社では大まかなルールを設定し、細かいルールは作らないようにしています。様々な技術ネタを定期的にかつ継続して公開していきたいので、あれこれルールを設けてしまうと執筆するハードルを上げてしまうからです。

4. アクセス数が多かった記事

これまでに公開した技術記事 26本 (9/30現在) のうちアクセス数が多かった記事 Top 5 をご紹介します。

valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com

こうして見返してみると、旬な題材やちょっとコアな技術ネタの人気が高い事が分かりました。

5. VA Linux ならではの記事

弊社は Linuxカーネルの開発から始まった会社で、現在も基盤系の OSS に関する開発やサービスを得意としており、技術力の高いエンジニアが在籍していることが強みとなっています。
新しい OSS 技術が一般的に普及する前、ハイプサイクルでいうと黎明期から啓発期にかけての技術に対しての開発や検証などのお仕事が多い特徴があります。
その技術が普及した際には、これまでに培った知見を活かして障害解析サポートサービスを提供しています。

そのためには、新しい技術や注目されている OSS の知見や技術力を上げる必要があり、調査段階では日本語の資料が全くない時もあります。このような技術についての情報を可能な範囲で紹介していき、弊社がどんな技術に取り組んでいるのかを知ってもらえる機会になればと思っています。

valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com valinux.hatenablog.com

ディープなトピックが並んでいるのを見ると弊社がディープな事をやっているなぁ、と改めて実感します。
これからも色々な技術ネタを掲載していけたらと思っていますので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

6. 課題とこれから

課題

弊社が技術ブログを開設するにあたって最大の課題となるのが、エンジニアのモチベーションの維持とブログの継続化の2つでした。

執筆者は、技術記事を完成させるまでにテーマを決め、調査・検証、執筆、校正と多くの労力を割くことになります。弊社は少数精鋭の小さな会社なので、最低月2回の更新でもそれ相応の負荷がかかってきます。執筆のルールを最低限にしてハードルを下げても更新頻度を保ちブログを維持していくという事はなかなかハードだと思います。

このような状況下で執筆者がモチベーションを維持するために必要な事は何か、どんな事に価値を見出すのかを考えました。

  • アクセス数
  • 読者数
  • コメント数
  • ブックマーク、スター数
  • SNS での拡散

上記の項目は数値で表すことができるため、毎月のアクセス解析は全員に情報共有しています。また、業務の一環としてお願いしている以上、会社からもインセンティブを渡そうという事で、社内投票制で複数本の記事を選び報奨金を贈呈しています。コロナ禍でなければ年度末の納会で表彰したかったのですが、昨年度はオンラインでの表彰となりました。

価値観は人それぞれなので正解はありませんし、どんなかたちが多くの執筆者にとって Happy なのかは考え続ける必要があると思っています。

これから

技術ブログを1年続けてきて、記事公開日のスケジュールに空きがあったりするとエンジニアの皆さんが自主的に予定を入れてくれることも増えてきましたし、そろそろブログネタを考えよう、〇〇さん書きませんか?こんなネタはどう?などという声があがったりすることが増えてきました。(編集担当としてはとても嬉しくて小躍りしています)
記事を執筆する事が普通に業務の一環として受け入れてもらえるようになる事を期待しています。

また、他の企業様とコラボレーションできる機会を増やしたいと思っています。 7月には、株式会社エルザ ジャパン様のご協力のもとディスアグリゲーテッドコンピューティングに関する記事を掲載し、エルザ ジャパン様のホームページにも相互リンクをしていただきました。 valinux.hatenablog.com

今後もこのようなコラボをしていきたいと考えておりますので、掲載してほしい技術ネタがありましたらコメントを頂けると嬉しいです。

1年なんとか無事に続けてこれたのは、読んでくださる方がいるからこそと思っています。ありがとうございます。 これからも幅広い分野の技術ネタを VA Linux らしくコアに紹介していきたいと思っています。